CREATIVE COOKING COLUMN
米も品質は低下している
■おいしい米とタンパク質
日本人は誰でも美味しいご飯を食べたい。
炊き立てのご飯が食べたい。
食事が出来上がって家族に呼びかける母親の言葉は、”ご飯ですよ”
パン食でも、麺食でも”ご飯ですよ”と呼びかけられている。
ご飯んは、食事を摂る意味に使われている
米は水を加えて炊くだけで、素材の品質が味覚を左右する。
そのお米の品質が全国的に低下している。
気付いていますか!!
お米の品質が低下していることから、美味しいご飯の要求に応えるために炊飯器は特別高い商品が販売されている。
お米の品質を選択するのは、粒子の形状と成分分析から判断されている。
米の品質を左右する大きな要素の一つにタンパク質とアミロースの含有量とがある。
日本の米の品質を評価する方法にタンパク質の含有量の範囲が5.0~6.5%を目安とし炊きあがったご飯の美味しいさの基準としていでる。低アミロース米が求められている。
米のタンパク質の測定では総窒素換算で栄養学では計測されており、タンパク質が多過ぎるのは、窒素過多の環境で栽培されておりその結果がタンパク質の含有量が多くなる。
タンパク質が極端に少ない場合は、窒素不足、肥料成分が少ないことを示している。
稲穂の開花がいっせいに揃うと粒子にバラツキが少なく、精米時に見られる、青米が少なくなる。
開花がいっせいに揃わすには、生育に合わせて適量の窒素肥料が安定し吸収できる土壌の環境を整えることが栽培の条件である。
しかし、窒素過多の条件で栽培すると正常なタンパク質の量が増加しているのではない。
窒素過多の条件で栽培された花や野菜の種子を採取し次の年に播種すると発芽率が悪くなる。米も同じである。
植物は窒素過多になると人間が罹患しているメタボリックシンドローム症例と同じ状態になる。
最近の米は大地に有機肥料が少なく、化学肥料に依存しているために圃場全体の安定した窒素管理が出来ておらず、窒素過多の状態で栽培されており、味覚が低下している。
圃場にアミノ酸類から熟成し、ペプチドの状態から完熟され安定した土壌状態ではなく、その上にミネラルの含有量が低下している。反対にリンだけが過剰になっている土壌も多い。リン過剰の土壌は他のミネラルの吸収を阻害する。青果物のミネラル不足の原因の一つでもある。
■コシヒカリはすべておいしいのか
日本は米を育種した歴史が長く、適地適作から米の品種が多く開発されてきた。
品種の選択は、栽培地の気候から選ぶのが普通であるが、最近は、あまり細やかに気候を考慮し品種を選択されていない。
米は、米の品質と炊き方、火の質と水の質で味覚が変わり、コシヒカリがどの地域で栽培しても全て味覚が整い、美味しいお米の質ではなく、炊きあがりは一定ではない。
美味しいご飯を食べたい願望とは裏腹に細かく品質を選別し、購買されていることが少ない。
消費者の多くの人が全てコシヒカリが美味しい米と錯覚され購買されていることから全国40都道府県でコシヒカリが栽培されるようになった。
コシヒカリは粒子は比較的小さいが低タンパク質で美味しいお米の代名詞になっている。
米は、栽培地の気候と栽培技術が味覚の基礎を作り、収穫期の外気夜温温度が20℃を切ると味覚が増す。開花の時期には一定の日高差がなければ高温障害が生じ、粒子の形状に異変が多くなる。割れ米や粒子の大きさ、乳白色の粒子が多くなる。
品種の選定は、その地域の気候から早稲種、中生、晩生の適性を選び栽培の形態によって判断する。
平成5年に出版されている「酒米の品種」国税庁醸造試験場の調査ではコシヒカリに含有しているタンパク質の全国平均は、5.45%、新潟県が全国一低く5.3%、となっている。残念ながら最近のコシヒカリはタンパク質が増加し多くが6.5~7.2%になっている。*総窒素換算の量、タンパク質は計測方法によって違いがあり、同一計測方法で比較する必要がある。
■メタボリックな米
米の味覚低下は、全国的に広がりが見られ、糠の層が薄くなりつつある。精米時の糠の量が少なくなっていると街の米屋さんが不思議がる。従来の精米の状態では、米の表面が削られ、糠の色は白くなる。一昔前の精白は3分の精米と変わらない。
タイやインドネシアの温暖な地域で栽培されている米の糠の量は少ない、地球温暖化が糠の量にまで影響している可能性がある。
米の品質、味覚が低下しており、米までもメタボリックシンドロームになっている。米に含まれる総タンパク質の量では約1%増加しているが、タンパク質の増加した量は、含有比率では15%近くタンパク質が増加しており、この増加したタンパク質が味覚を低下させている。
米、野菜、畜産全ての農産物がメタボリックシンドロームと同じ環境にあり、その結果、食物連鎖から日本人のメタボリックシンドロームを増加させている。
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