CREATIVE COOKING COLUMN

空腹知らずのメタボリック食事療法

■食べることへの欲望
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減量のための食事療法の多くは、食べたいものをひたすら我慢して、空腹感と戦う。
そして、我慢がストレスとなって挫折する…挫折から、あきらめにかわり、それまでの我慢を補うように馬鹿食いをする…と云うことが多いのではないでしょうか!
精神力が続かなければ、食事療法で減量はできないことになります。
そこに美味しい食べ物が並べられて、食べることを我慢するは、子供、大人、年齢には関係なく、厳しく、制御できる精神力を養う努力が求められます。
経済的に許されると食事の我慢はなかなかできることではありません。

■食の創造性
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ここで少し発想を変えてみましょう。
美味しい食べ物を食べたいという気持ちは誰にでもあります。
禅宗の修行中では魚類動物性の食べ物は摂取を禁じています。
精進料理には「もどき」という調理があります。「うなぎの蒲焼きもどき」「はもの照り焼きもどき」「がんもどき」調理で作られ器の盛りつけされている姿は、鰻の蒲焼きやハモの照り焼きとそっくりに作られていますが、素材は豆腐や味噌、海苔を使っています。擬きの料理を精進料理のなかで調理されていることは、禅宗の厳しい修行中であっても、食べたい願望は誰にもあり、その願望をどのように満たすのか、創造性を高めて、作りあげています。食は発想の原点、創造性や科学性のおもしろさを知り、食べることには遊び心が必要であることを食事の中から教えているのではないでしょうか!

食べることには、生活の基礎であり、空腹を満たす事も大切ですがそれ以外に多くの素地があり、時間を掛けることや工夫には一見して無駄に思われがちですが、食べることから得られる経験や食べる楽しみと同じように、智力を養う基礎になっています。
食べることに100%の合理性や科学として計算できる栄養学は、まだ存在していません。
食べ物は、味わい方や楽しみ方、目で楽しみ、香りで楽しんで効果的な吸収が得られます。

京懐石、茶懐石は時間を掛けてゆっくりと運ばれてきます。美味しい食べ物を早く食べるのは、少しもったいないと捉えているようにも見られます。
美味しい食べ物も咽を通り越すと味覚は口に一部の味覚感覚だけが残留しているだけで次の食べ物に目が移り、手がでます。次ぎに手がでて口に運ぶとその前の味覚は薄れてしまう。ゆっくりと味わう、ゆっくり楽しみながら戴くと美味しい食べ物がそれだけ長く楽しめます。

■良く噛むことで美味しくなる
良く噛んで戴くと食べものは、味覚が増していくのが普通です。
「噛み締める」「噛み砕く」の言葉は食べることに使うよりも知識を得ることに使われており、噛むことによってより深く味覚を知ることから使われています。
良く噛むことは、それだけ美味しい食べ物を長く楽しめます。
良く噛むことは美味しい食べ物ほど香りがしっかり脳に残留し長く楽しめます。
食べ物の香りは、脳細胞にしっかりと記憶されている。
記憶が確かであると、香りだけで、唾液の分泌が自然にわきあがり、良く噛むことや香りを楽しむことは無駄な時間ではなく、次への消化と吸収を助けている。
丸飲みは、むしろ無駄な、もったいない食べ方であり、非合理的な食べ方の一つと云える。
脂肪分の多い肉類は軟らかく、口の中から溶けるような味覚が美味いとされている味覚ですが、口のなかで長く噛む味覚ではなく、丸飲みができるほど軟らかい味覚を好み、「がつがつ」と犬や猫の食べ方に似ていませんか!
食べることは、美味いだけではなく、どのように吸収されているか、生体として見たときに食べ物の食べ方と排泄の内容を知る必要がある。
脂肪はうま味の大きな要素ですが、悪魔の誘惑に近く、伊豆半島から八丈島にかけて獲れるアブラボウやサットウと呼ばれている黒ムツの脂肪は、絶品ですが市販が禁止されている。漁師仲間では適量をこっそりと食べていると聞きますが、適量を越えると消化されずにそのまま、全く無意識に排便していることがある。人によっては口に入れて2時間もするとトイレに駆け込む場合もある。牛肉の霜降りは吸収されていますが、過剰摂取がメタボリックシンドロームの原因になりやすい。

■食べ方と健康
動物の食べ方と排泄物を見ると食べ方の大切さが解る。
鶏はいつも啄んでいます。啄むでから排泄するまでの時間はわずか約3時間、空腹を満たすためにいつもいつも啄むでいる。
豚もいつも食べている。食べていることは空腹感があるからで、豚は平均8時間で排泄する。鶏も豚もほとんど噛まずに丸飲みで燕下している。
ゆっくりとは噛むことができない。鶏と豚の動作はいつも落ち着きが無い。食べているか眠っているか、目線は常に食べ物を追っている。
牛は反芻しており、口をいつも「もごもご」よだれを流しながら、なんどもなんども反芻を繰り返す、反芻しているときは落ち着いているときであり、ゆったりとした自然との調和、大地とのバランスが窺える。反芻しながら走ったりはしない。
牛は、食べてから排泄するまでの時間は長く、24時間~30時間必要としている。
排泄物の総窒素量が低いほど高い吸収率と判断でき、排泄物の窒素量は鶏が一番多く、次ぎに豚、そして牛が一番少なく、牛は時間をかけて反芻しながら消化吸収を助けている。
鶏や豚はもったいない食べ方が身についているが、消化吸収の機能に違いがあり今さら変えることはできない。
動物もゆっくりと時間をかけて摂取していることが健康な吸収に結びつくように、忙しい食べ方ではなく、ゆっくりと時間をかけることが、消化と吸収のバランスが取られ、唾液が助ける消化の分泌量が安定する。
食べることは本能であり、自然な行動であるが、食べ方を工夫できるのは、人間だけである。食べ方に創意や工夫ができるのは、人類だけの特権でもある。
栽培に欠かせない窒素も過剰な窒素量になると肥満と同じ状態になり、植物は正常な生育に結びつかない。窒素過多は早い成長が見られるが、微風でも倒れやすく、ウイルスや病気に弱い。牛の排泄物は総窒素量が少なく、その上に多くの酵素を保有しており、作物を作るのに最適な肥料に転換でき、水田、野菜、果実の肥料に最適で、牛の飼育は有機農業や循環型農業を支える。耕作面積に対する飼育頭数が適量に維持されると農業生産は安定する。
窒素過多は肥料としての価値が半減するだけではなく、大地から地下に浸透し、地下水の環境汚染の原因になる。

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