CREATIVE COOKING COLUMN
メタボリックな胴回りと環境汚染
日本は戦後米国から多くの事を学んだ、そして次の時代への課題が残された。
大量生産と大量消費、使い捨ての文化もその一つである。
従来、日本人の文化的精神のなかに、全ての生命、物質を大切にする精神が尊ばれてきた。
生命が存在する生物、樹、森、稲や米を始め、無機的な小さな物質や生命体でない石や砂水にも神が宿っているとして大切してきた。
生命が存在する限り小さな生き物全てをむやみに殺生することを禁じており、自然に物を大切にする事が、日本人の精神的文化として伝統され教えられてきた。
この教えは神道や仏教の教えにも共通している。
戦後、日本の産業が急速度に回復へと道を切り開いた要因には、米国への輸出、大量消費材の米国への輸出にある。
従来から日本の零細企業は、業種別に分業的システムが確立しており、分業的な生産システムが近場に集積していたことが、大量生産が可能な産業構造への転換に連鎖し、早い成功への道を開いた。
大阪地域は、特に敏捷に関西でも早く反応し、簡素化と、低コストで生産出来る分業システムが確立された。京都では、素材の一つ一つの付加価値を高める分業システムが伝統として存在しており、製品別に独自の長所を生かし選別された分業が取り入れられた。
神戸の海外貿易業務の伝統と大阪地域の零細産業と京都の伝統産業が調和し関西全体の早い成功を治めた。
国内消費される商品の多くも、価格に重点がおかれた。新たな商品が開発されても、同類の商品が次々と技術革新され、製品の耐久性よりも次への商品開発への対応に素早く転換できる効率が要求された。そして、いつの間にか地域社会全体が使い捨て商品を氾濫さす社会構造に転換していった。
■経済発展の代償
大量生産が大量消費に結びつき消費の拡大が経済発展に寄与した。
生活用品の多くが使い捨て商品に変わり、経済構造が使い捨て社会を推進する意識に変わり、使い捨て経済サイクルが昭和40年代から続き、バブル経済の頃まで継続した。使い捨て経済の最高潮は昭和の終わりから平成3年頃が、日本の工業生産高は最高になった。
工業生産高の成功によって経済的には豊かになったが、環境汚染は各地で深刻な問題として残された。
他方農業生産の現場にも工業生産と同じ課題が要求され、大規模生産団地の育成が推進され農産物の国際価格との競合が求められた。
従来の日本の農業、自然との共生する農業生産から、農薬と化学肥料を多量に投与する、生産効率が重要視された。
畜産、養鶏にも同じ課題が要求され、農産物の自然性、自然のサイクルを無視し品質よりも価格重視の生産量の拡大が求められ、規模の拡大による生産性では一定の効果を示してきた。その結果、農業生産地域は工業生産地域と同じように環境汚染の問題が深刻になっている。
家畜の排泄物の総量は毎年8900万噸にもなり、最大の環境汚染重量となっている。
この量は日本の家庭の生ゴミを始め食品廃棄物から生じる量の約4倍である。
工業生産の構造はバブル経済が終わり、高付加価値商品へとシフトされている。大量消費の時代が影を潜め、省エネルギー、環境重視の製造工程が主流になり始めた。製造業全体に環境重視の生産工程に転換し維持しなければ、存続できない厳しい時代になっている。
■農業生産の転換
国民のメタボリックシンドロームの多発は明確に食べる物の意識の転換の必要性を示唆している。
食品産業や惣菜、外食産業、量販店、百貨店、ホテルのレストランは今岐路に立っている。
グルメをうたい文句にする時代から、疾患を予防できる食事のメニューに転換が求められる。
しかし、健康を維持し病気への予防ができる食品は正しい食材が持続的に安定しなければ維持できない。
食生活の意識も同様に環境を考慮しなければ、持続的安定した健康は得られないことが解り始めた。
国民全体が求める畜産物、農産物の意識の転換が必要であり、品質よりも価格重視の意識の転換、過食と飽食の意識を改善しなければ、自己の生命、疾患への影響が大きくなり、国家の経済に与える影響が増加する。その結果は地球全体の環境汚染は軽減せず、CO2の軽減にも結びつかない。
今では、安い肉(鶏、豚、牛)はいつも手頃に買え、食べられる。
国内での安い肉の生産地は、北海道、そして鹿児島、宮崎に集中している。
安い肉が手軽に手に入ることが、結果的に脂質の摂りすぎ、メタボリックシンドロームを多発させた。
■メタボリックシンドロームと世界への影響
過食と飽食は全ての先進国に共通しており、メタボリックシンドロームは日本だけの問題ではない。
後進国の多くは日々の食事も満足に得られていない。地球規模の環境汚染から生じる温暖化は後進国ほど影響が大きい。日々の食事が得られない原因には、地球温暖化等の環境の変化から生じている天候の変化、干ばつと洪水、作物の不作も大きな原因になっている。
メタボリックシンドロームは消費者自ら作り出しており、改革する意識をなくしてCO2の軽減に結びつかない。
■メタボリックの悪循環
メタボリックシンドローム原因の多くは動物性脂肪の摂取量の増加にあり、畜産の生産サイクルの短縮化にから生じている脂質過多の生産システムにある。
低コストのブロイラー、豚肉等は水分と脂肪過多が多い。
家畜には自然の生命サイクルが存在する。
生命サイクルは太陽と月に影響され、太陽暦から四季と月齢のサイクルである。
人間が経済から割り出し家畜に求める成長サイクルは、家畜の成長から得る利益、与える餌の量から経済価格を割り出し効率的な飼育期間のサイクルで計算している。
餌は経費であり、投下費用であり、肉の売価から生産サイクルを割り出しており、生命サイクルから割り出されていない。
家畜の脂肪の多くは雑穀の餌から得る、飼料の選択は脂質に転換する比率から品質が選ばれる。
早く固体を大きくするには脂質によって作り出す、脂質に早く転換する飼料を多く与えると家畜は水分を多く要求する、雑穀と水分の量を多く摂取すると早く固体の体重が増加する。
家畜の餌の摂取量が減少するとホルモン剤が投与される。
家畜はただ太る為に食べ続ける。
家畜自身がメタボリックシンドロームの脂肪過多、肥満体を作りだし経済サイクルを早めている。
生命サイクルを無視した生育を求めるて家畜に餌を与えると肥満になり、短時間に販売に見合った重量を得られるが、決して健康的な生体ではない。
牛も豚も鶏も不健康な肥満体に飼育され出荷されている。
不健康な生体を低価格と喜び過食と飽食を継続した結果が食物連鎖しメタボリックシンドロームの原因を作る。野菜も米の生産も全く変わっていない。
家畜の牛や鶏は、放牧地で生育すると草や雑穀類を自然に摂取し、自然サイクルと整合し成長する。
家畜の脂質は牧草に種子が実り雑穀類の摂取量が多くなると増加する。
人類は貯蔵技術から一年中多くの食物を摂取出来る構造を作り上げた。家畜にも同じサイクルで餌を与え経済性を高めることは可能である。
世界的に畜産の価格競争は激しく、家畜に年中高脂質の餌を与えることは、家畜の寿命が短かくなる。
・健康的な家畜の飼育ができる環境が少なくなっている。
・人類は健康的な食物を摂取し健康を保つ。
・生命は常に自然界のなかで輪廻している。
家畜の価格が低下し、年中高脂質の動物性食品の摂取が可能になった。しかし、世界的に家畜飼育の規模は拡大し、飼育から生じる環境汚染は増加し、大規模集約的飼育から生まれるウイルスによる伝染病の影響は増加する。その結果、成長ホルモン剤、抗生物質への依存は高くなる。先進国とは経済的に豊かな地域を指す、経済的に豊かな地域は常に美食を求め、美味い物を追求する、美食とは脂質の多い食品を指す、家畜の動物性脂肪質の多い肉質が要求され、その結果はメタボリックシンドロームが拡大する。
メタボリックシンドロームは身体の胴回りが一つの基準である。胴回りの太さは環境汚染の広がりを意味しており、環境汚染の広がりとメタボリックシンドロームは一体の構造にある。
国の人口が占めるメタボリックシンドローム発症率は世界の環境汚染を広げた面積に比例する。
参考:乳ガンと洗剤
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